2017年01月09日

モルモットが血尿をしている (膀胱結石)

(本稿は手術写真を含みます。苦手な方はご注意ください。)






モルモットさんは膀胱に石ころ(結石)ができてしまうことが比較的よくあります。
このような場合、初期には血尿や排尿のしづらさ、排尿痛が認められますが、その状態が長引くと痛みによる元気や食欲の不振を招きます。
また、結石が膀胱より下の尿道に詰まってしまった場合、排尿困難による腎不全へと発展し、死に至ることも少なくありません。
草食動物の結石はカルシウムを主成分とし、基本的に溶けることはないので、早期に手術にて摘出することが望ましいと考えられています。


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モルモットさんの膀胱にできた結石。
手術にて摘出しました。


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摘出した後は小さな膀胱を丁寧に縫合します。


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術後のおなかです。
モルモットさんは痛みやストレスに極度に弱いので、術中や術後の麻酔・鎮痛が大切です。


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2016年06月02日

モルモットの眼がとび出している (眼窩膿瘍)

モルモットさんなどの奥歯が伸びる動物は顔面周辺の組織に膿が溜まる膿瘍の形成がよく見られ、その中でも目の後ろに膿瘍が発生する眼窩膿瘍は非常に治療が難しい病気です。

眼窩膿瘍は目の後ろから急激に膿が発生し、そのせいで眼がとびだしてしまう病気であり、内科的な治療に反応が悪い場合や発見が遅れ眼球にまで感染が及んでしまった場合は眼球摘出が必要になることも少なくありません。

しかし、膿の排膿や積極的な抗生物質の使用によって膿瘍がコントロールできることもあり、この場合は眼球
と視力の保存が可能です。

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眼窩膿瘍によって飛び出した眼。


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治療後。視力は維持され、眼球もクリアに維持されています。
ラベル:モルモット
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2016年05月31日

モルモットのできもの (乳腺腫瘍)


(本稿は手術写真が含まれますので、苦手な方はご注意下さい)




人間と同じように、動物にも乳腺腫瘍(いわゆる”乳がん”)が発生します。
通常、乳腺腫瘍は女の子に発生しますが、モルモットさんは男の子であっても乳腺腫瘍が発生しやすい非常にまれな動物です。
モルモットさんの乳腺腫瘍は手術による早期の摘出によって治療します。
時間の経過とともに巨大化したり、肺転移を生じるため、早期の摘出が大切です。

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モルモットさんであっても当然全身麻酔にて血管確保を行い、手術に臨みます。
モルモットさんは痛みに非常に弱いため、繊細な麻酔管理と専門的な術後管理を行う必要があります。

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乳腺の腫瘍。
通常、片方のみの腫瘍の発生であっても、通常と思われる乳腺も同時に摘出することがよいと思われます。
これは摘出せずに残された乳腺がのちに腫瘍化することが多いためです。
写真の男の子も、他の病院様にて右の腫瘤のみを摘出した1年後に、再び左乳腺が腫瘍化したため再度手術となりました。

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切除後の乳腺と術後写真。
モルモットさんは傷を気にすることがありますので、縫合もそれに気を付けて行う必要があります。

ラベル:モルモット
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