エキゾチックアニマル医療においても、犬や猫と同等に、もしくはそれ以上に健康診断が大切になります。
それには様々な理由がありますが、まずエキゾチックアニマルは体調の変化を隠す性質があるため、飼い主様が健康だと思っていても実際は病気であることがあります。この点から、何気ない様子の変化を見逃さないさないことが大切であると同時に定期的に健康診断をすることをお勧めします。
しばしば、エキゾチックアニマルは繊細だから、検査をするとストレスになるといわれることがあります。
また、体の小ささを理由に検査が行えないといわれることもあります。
確かに、検査がストレスになる種はいますし、体調次第では検査をしないほうがいいタイミングもあります。また、サイズが小さすぎて検査を行えないこともないわけではありません。
しかし、工夫と経験次第で、実際はほとんどの動物で犬や猫並みの検査を行うことが可能ですし、その結果に伴った適切な治療が行えます。
当院においても、例えばウサギやハリネズミやモルモット、カメやトカゲの血液検査を日常的に行っていますし、レントゲンもエコーもよく撮ります。
むしろ、過剰に検査を避けることで、本来は早期発見できた病気や治療可能だった病気でペットを亡くしてしまうことのほうが遺憾に感じます。
ハリネズミの血液検査
カメの血液検査
モルモットの血液検査
イグアナの血液検査
ウーパールーパーのエコー検査
カエルのエコー検査

カメのレントゲン検査

鳥のレントゲン検査
また、非常に重要な点として、いろんな動物の様々な飼育方法などが書籍やインターネットなどに書かれていますが、その中には誤っているものもあり、飼育方法のミスによって病気になることも多いです。そのため、病院に来ていただいて、飼育方法や日常の疑問点を解決することが大切です。
病気の発見には様々な検査も重要ですが、健康診断としてはむしろこちらのほうが大切かもしれません。エキゾチックアニマル医療においては、飼育管理や食事管理に関することのみで分厚い洋書の教科書があるくらい大切な部分ですし、獣医がそのような指導をすることも大切な診療の一部分です。
同時に、健康診断の際に病院を訪れ、かかりつけ医を持っておくことも大事です。
普段のペットの様子を見てもらい、飼育環境などを伝えておくことで、いざ病気になったときにスムーズな診断につながります。そして、最も大切な点は、その病院の雰囲気や先生の人柄・考え方が自分とあっているか確認しておくことです。現在、動物病院も多様化し、専門医なども増えてきました。これに伴い、必ずしもすべての動物病院の診療指針は統一されていません。よって、動物病院ごとにいろんな考え方があり、特にエキゾチックアニマルに関してはその傾向が強いかもしれません。
少し難しい話をしてしまいましたが、もっと単純にイメージすると、例えばペットが急に調子を崩し、初めての動物病院を訪れたとして、その先生が「○○ガンです。もう100%助かりません」と診断を下したとして、それがすんなり信じられるかどうか、ということにもなるかもしれません。
普段から行きつけの病院があり、先生とも何度も話したことがあり、小さな病気の際にいろんなことを聞いていて、適切に納得のいく治療をしてもらっていたら、その先生の診断を受け入れられると思います。
しかし、心の準備のないままほぼ初対面の先生に言われたとすると、「診断が間違っているのでは?~~検査はしなくていいの?ほかにもっと良い治療法があるのでは?」と混乱してしまい、たとえ正確な診断だったとしても、先生と飼い主様の足並みがずれてしまいます。
獣医療では、対象となるペットはしゃべりませんし、自分の治療方針を自分で決めることはできません。従って、それを最終的に決めるのは飼い主様であり、獣医は医学的観点と飼い主様の事情をくみ取り、その決定を補助することが仕事になります。よって、獣医と飼い主様の足並みが揃うというのは、飼い主様の頭の中がすっきりと整理されて、疑問なく納得されたうえで獣医とともにペットの治療にあたっていくということであり、これが非常に大切です。この点がうやむやになっていると、どんなに正しい治療も実際はうまくいきません。いわば、ペットが健康なうちにかかりつけ医との信頼関係を作っておくことが重要です。
そして、人間と同様に、高齢になるにつれてあらゆる動物が病気になります。犬や猫もそうですが、当然エキゾチックアニマルも病気になります。ウサギの肝不全、ハリネズミの腎不全、トカゲやヘビの腫瘍(ガン)などなど、挙げればきりがありません。そしてしばしば、初期症状がわかりにくいため、症状に気づいた時には末期ということもあります。
これらの理由から、定期的な健康診断が大切になってきます。
時間があるときに、動物病院にいってみましょう。